SMASH17 後楽園ホール 観戦記録

 一ヶ月ぶりのSMASH。大阪、名古屋の連戦を経て、GWシリーズの最終戦。メインイベントは、ベルトをめぐる3WAYタッグマッチ。SMASHでは初めてとなる、ゲーム性のある試合形式。楽しみなカードだったが、連戦中に大原が左手を骨折したとの情報。全治二ヶ月? うへー、メインは誰と交代するんだろう……、と思ってたら、本人が強行出場とのこと。
 開演10分前くらいに5Fのエレベータを降りると、前回はチケットの引換で人が溢れていたが、今回は平穏な感じ。事前郵送にした成果かな。ただ、普通郵便で送るのはよくないと思うけど。
 中に入ると売店はいつものごとく、人が溢れていた。ここで地震が起こるとえらいことになるね。ま、プロレスを見に行くのはほとんどが大人だから、自己責任と自己判断で。


■試合前のスキット

 本日のカード紹介映像が流れて、リング上にはメインイベントに出場するTAJIRI組と大原組。酒井代表がコバックを呼び出して、ベルトの入ったアタッシュケースを戻すよう要請する、というスキット。このような大会への導入部は、映像以外でもどんどんやっていったほうがいい。団体の特色にもなるし、なにより客として楽しい。
 酒井代表はまぁ、なかなかの大根役者だったが、これからこなれてくるとおもしろくなりそう。やっぱ団体の代表という役割は、ビンス・マクマホンを例に出すまでもなく、プロレスのストーリーを転がしていく上で大変重要だと思われる。いつでも技を食らえるように、なんとなくの体づくりをしておいてもらえるといいなぁ。現状だと、ラリアット食らったくらいでも骨が折れそうだもんね。


■第一試合 AKIRA&木藤裕次&滝澤大志KAIENTAI-DOJO)vsブラディ・ロバーツ&Quiet storm&べナム・アリ

 K-DOJOより滝澤が初参戦。身長があって見栄えのする選手。K-DOJOの選手とSMASHはおそらく水が合うと思う。継続参戦して欲しいな。
 外国人三人組は、あまり印象がない。木藤は体つきが引き締まって、よくなっていた。あとはオリジナルムーブがあると、初見の人にもわかりやすくなると思う。


■第二試合 児玉ユースケvsウルティモ・ドラゴン

 チャレンジマッチみたいなのが多い児玉だが、その成果をそろそろみたいところ。大阪プロレスに参戦するらしいので、誰かライバルを見つけてきたいね。
 関係ないけど、大阪プロレスの社長と酒井代表って他業種からのプロレス業界参画ってことで、話が合うのかな?


■第三試合 矢郷良明vsレザーフェイス

 WCW的大味アメプロの雰囲気が出ていて良かった。レザーは相変わらず入場命、って感じで大変好感が持てる。
 殺人コブラツイストからのグラウンドコブラがフィニッシュ。おそらく、後楽園ホールにいた3割くらいの人が思い描いていたフィニッシュだろう。


■第四試合 朱里&志田光アイスリボン)vs紫雷美央紫雷イオ

 休憩前の最後の試合。ここまで、非常にテンポよく進んでおり、この試合への期待感も高まるというもの。どの試合も10分前後、という大会より、長い試合もあれば短い試合もある、という方が健全だし好ましい。
 試合はほぼ紫雷姉妹が支配していた。アメプロもヒールが試合を組み立てると聞いたことがあるので、セオリー通りなのだろう。
 ただ、志田はともかく、朱里の受けの表現のバリエーションの少なさが気になった。紫雷姉妹の技の受け方と比べると、よくわかると思う。朱里はただやられて辛そうな顔をするだけで、受けている間は魅力があまりない。
 受けの魅力がないならそっち方面はとりあえず後回しにして、攻めたときは一瞬で決めてしまうかもしれない、という緊張感のあるキャラを確立する、という方向もあると思う。ただ、イマドキはあまり流行らない(いわゆるU系スタイルに近いと思うから)。中邑真輔でさえも、受けの魅力は研究しているのだ(ラリアットに一回転受身をしたりするよね)。
 でもこの試合は、紫雷姉妹を賞賛すべき試合かもしれない。イオの運動神経のよさが語られがちだが、美央の緩急ある試合運びも注目すべし。ちんたらとロープ際で相手の顔を踏んづけていたかと思いきや、素早くコーナーに走ってタッチを待っている相手をつぶしたりとかね。あと、合体技を仕掛ける際の待ち構え方も、なかなか良かったな。
 難点は、フィニッシャーがなんだかわかんない(あるんだろうけど有名じゃない)ところ。細いから、適当な丸め込み技とか合ってるのかな。打撃系は避けたいところ。イオはムーンサルト系をフィニッシャーにしているけど、もっとオリジナリティがあって、回転ミサイルキックよりも確実性が高いものを開発して欲しいな。
 あと、客席がシーンとしている状態に慣れたほうがいいと思った。この日の紫雷姉妹のデキだったら、シーンとしてるのは良い静けさ。みんなちゃんと試合を見ていただけである。



■第五試合 石川晋也(大日本プロレス)vsスターバック(FCF)

 休憩明けは、骨ぼったいシングルマッチから。石川は雰囲気あるね。もうちょっと厚みが出てくると、グッと良くなりそう(関本・岡林まではいかなくていいけど)。
 スターバックは、すっかり指差しポーズ&シャーおじさんになってしまった。多分、次のファイヤープロレスリングでは、LボタンとRボタンにそれぞれが割り振られるだろう。
 しかし、スターバックの技は基本的なものばかりながら、見ていて飽きない。飽きない理由の一つに、音をしっかりと出している点があると思う。今風の腿を叩いて「ペチッ」という音を出すのではなく、リングマットの音を出している。長州のストンピングとかと同じ。若い選手、特に女子選手だとなかなかできてる人(意識している人)がいない気がする。
 試合的には、全てがスターバックの試合。石川も木藤と同じく、ちょっとわかりづらい。今日のデキだけを言えば、滝澤のほうが良かった。


■第六試合 華名vsセリーナ

 セミにこの試合は、まったくもって正しいと思う。今日のカードだと、これしかない。女子同士の試合には珍しく、むやみな発声、むやみなトップロープからのダイブ、むやみな2.9がなくて、異質だった。いや、これが普通なのか。
 華名が以前から言ってる既存女子プロレスへの批判は、この試合を見るとその主張がわかりやすくなるのではないだろうか。
 それにしても、どちらも骨太(体型じゃなくて)。WWEのベス・フェニックスとかとの試合を見てみたい。


■第七試合 TAJIRI&真琴(アイスリボン)vs大原はじめ(FCF)&ジェシカ・ラブ(FCF)vsママイケル・コバック&リン”ビッチ”バイロン

 メインは頭上にぶら下がっている鍵を取って、なおかつそれで本部席に置いてある(酒井代表が持っている)スーツケースを開けて一番最初にベルトを持ったチームが勝ち、という2段階でゲームが動く試合。ぶら下がっている鍵をとっても、開けに行く途中で鍵を敵チームに奪われてしまったら意味が無いってこと。
 入場が最後だった、コバック&リンチームが背後から襲いかかって試合はスタート。良い始まり方。こういう、ある意味お約束的な小賢しい悪さが、コバックの魅力だよね。
 リンもコバックチームに入ってコスチュームが変わってから、非常に魅力的。プロレスがちゃんと上手くなれば、全盛期の蝶野正洋的なダークヒロインになれると思う。少なくとも見た目はその輝きがある。
 真琴も成長している。このメンツの中でも、ちゃんと仕事ができていたし、体的にも違和感がなかった。やっぱ、プロレスラーは分厚くなくっちゃね。
 大原の怪我はやっぱり酷そうで、利き手じゃない左手でのチョップは、なかなか弱々しいものがあった。その代わり、といっては何だけど、フィニッシャーのフィンランド式フォーアームは威力倍増、という設定でもイイくらい。治ってからもしばらく、腕をがちがちにするのもアリじゃないかな。ギプスで殴ってます、的な。
 試合はちょっとバタバタした感じ。WWEやXディビジョンほどスムーズな選手の入れ替わりはできてなかったかな。ま、逆に入れ替わりがあんまりうまくなりすぎても、おもしろくなくなるんだけどね。


 試合はTAJIRI組が勝利して、次回からはトーナメントが始まるとのこと。AKIRAvs飯塚とか、プロレスファンにとってはたまらないカードだよ。
 女子は誰がエントリーするのだろう。朱里、リン、華名、紫雷姉妹、志田、真琴、セリーナでもう8人だけど。