出発日

 30歳にして初めての海外旅行へ行くことになった。しかも新婚旅行というシチュエーション。何世代前の日本人なんだっつーの。行き先はバリ島。いわゆる、ビーチリゾートってやつだな。正しい新婚旅行のあり方。
 いろいろとネットで情報収集をしたら、持ってく荷物はスーツケースの半分までに留めなさい、とのことだったので、律儀に守った。あとの半分はおみやげで埋まってしまうらしい。今までの経験上、旅行へ行っても(国内ね)、ほとんどおみやげを買わない性格というかスタイルなので、半分を超えても問題ないとは思うが、何事も初体験の時は、先人に従ったほうが良い結果が生まれやすい。
 飛行機はチェックインというものをしないとチケットが発行されない、ということを初めて知るくらいの知識のなさなので、成田でのあれこれ手続きが一番不安だったかな。
 京成線で1時間半弱かけて、成田空港へ到着。意外と人がいない。時期的なものなのか、時間的なものなのか(出発が16時)。
 端まで歩いて、HISのカウンターへ。ここだけ、人が並んでいた。あと、ユニクロにも人が多かった印象。並んでeチケットをもらう。そのまま自動チェックインの機械で座席を指定。使い方が全然わからなかったが、5秒くらいまごついただけで、係員の青年が来て、僕の持っていたeチケットを見ながらボタンを押してくれた。このサービスも含めて自動なんだな、きっと。座席はほとんど埋まっていたが、後ろのほうに2連の席をゲット。
 JALのカウンターで荷物を預けて、あとは出発30分前まで暇な時間。とりあえず外でタバコを吸って、空港へ来た記念写真。

 2時間も暇だなー、と思ってたけど、本屋で機内用の雑誌を探していたら、わりとすぐに過ぎた。改造社書店、だっけ? 成田という日本の玄関だけど、中野ブロードウェイライクな名前の本屋。あとで調べたら、歴史は古いらしいが。
 読みたい雑誌がなく、消去法で「SPA!」を選択。ちなみに妻はクロスワードパズル。
 いろいろ移動して、特にトラブルもなく、定時に出発。金属探知機でベルトが反応したくらいかな。こないだ、徳島に行くので飛行機乗ったときも、同じことがあったような記憶。
 日本からバリ島は7時間。JALだったからか、これがグローバルスタンダードなのかは知らないけど、機内サービスで超満腹になった。ビール、おつまみ、ジュース、機内夕食、お茶、またおつまみ、コーヒー……。CAの仕事って、時間的な比重としては、ほとんどウェイトレスなのかね。
 ちっちゃいけど、ちゃんと個別の画面があったので、テンション上がって古めかしいゲームをした。コントローラーが半ば死んでたから、操作するだけでストレスだったけど。
 あと、映画も観たけど、超つまんないのを選択してしまった。サスペンス系は当たり外れがでかいな。
 雑誌を読みながら、飽きてきたころにバリ島到着。ほとんど何かを口にしていた時間だった気がする。
 着いてちょっと歩いたら列に並ばされた。結局は、手足と手持ちバッグを消毒されるだけなんだけど、なんのサイン表示もなくて、バリ語の空港職員がなんか言ってるだけだから、全然わけわかんなかった。並ばなきゃいけないのかどうかもわかんなくて、面倒だから横から通り過ぎようとしたら、あっち行けみたいな感じで外を指示されて、余計にわけわかんなくなりそうだから、また列に戻ったりとか。今回の旅行でここが一番混乱したかな。
 その後は、税関だなんだを問題なく通過して、円をルピアに両替。カウンターの中に座ってるやつらが、全員おしなべて怪しい。騙す気まんまんオーラが出てるニヤニヤ男に、5万円ほど両替してもらう。数え方も怪しかったので、何回もお札を数えた。でも、多分彼は日本人が持っている「バリ人のぼったくりには注意しろ」という先入観をふまえた上で、演出としてあえて怪しい感じを醸し出していた気もする。お金も合ってたし。
 空港の外へ出たらムッとする空気と共に、ムッとした空気を倍増させる野郎ども、っていうかガイドがたくさん居た。
 目立つけどダサいHISのシャツを着たガイドと、車に乗ってホテルへ移動。車の中であれこれ説明を受けた。すげー日本語上手かったよ。
 繁華街を抜けて20分ほどで、ホテルへ到着。ホテルの従業員も、わりと日本語ができて、楽だった。着いた時点で現地時間の22時を過ぎていたから、ホテルへ移動するだけで今日は終わり。飲酒もせず、風呂に入って就寝。