さりげなく死ぬことは可能か

 暑い日だった。やや厚めのジャケットを着ていたら、シャツがびっしょり。どんどん合理的な世の中になっているのに、ビジネスマンのスーツは一向になくなる気配がないのが不思議だ。そりゃ、もちろん、5年前より、10年前より、スーツでなくとも許される場面は増えていると思う。だけど、まだまだ大半がスーツである。一体あれは誰のどういう目的からくる要請なのだろう。
 何年か前、クールビズ運動が盛り上がり始めて、夏用のスーツだったか、涼しげなデザインで発表されたのを政治家が着ていた。多分、あれがダサすぎて運動が盛り下がったのではないか。クールネクタイみたいなの(これはずっと前からあるけど)も、ありえないくらいダサいイメージがある。ああいうのを、かっこよく提示するのがファッション誌の仕事の一つである気がするけれど、取り組んでいるところを見たことがない。
 最先端を走ることは、周りの理解を得られず、また、よほどの人でない限り、最先端を走っているのか、ただ踏み外しているだけなのか判断できないので、非常に不安である。しかし、それをしないと、大きくは儲からない。大きな名声を得ることもない。そのことに自覚的であるかどうか。今現在、最先端を走ってなくとも、それを知っているだけで、一寸は得をすると思う。
 フジテレビで放送している「レッドカーペット」だけが、毎週欠かさず観る番組である。スペシャルの時は、休む間もないくらいのおもしろさだったが、レギュラーになってからそうでもない。
 おそらく、各組の持っているベストネタが消費されてしまったのと、一組あたりの時間が長くなったことが原因であろう。練られてなくとも勢いのあるネタが、矢継ぎ早に襲ってくるのが、あの番組の魅力、というかアイデンティティだったはず。ネタ見せの番組になってしまっては、つまらなくのは当然。
 でも、毎週一組は、観たことのないおもしろいタレントが出ていて、しばらくは見続けるだろう。ちなみに今週はブラックパイナーSOSがダントツだった。たしかボキャブラに出てたような……と思って調べたら(こういうところは意外とマメ)、あっていた。しかも、同い年だった。それくらいでは、親近感はわかない。でも、密かに応援しそうな予感。