SMASH10@JCBホール観戦記:前半

 なんだかんだで、SMASHが今年一番行った団体だ。所属選手が若くて活き活きしているのが、とても良い。そして、他団体から参戦してくる選手や、フリーの選手も、このリングだとテーマがあって、良いところが出ていると思う。
 今まで新宿FACEのみで行われてきたSMASHが初のビッグマッチを開催。同団体は、今年始動したばかり。それでいてJCBホール進出は、この時代においてなかなかの出来事だと思う。
 ただ、収支が合っているのかどうかは知らない。今パッとHISのサイトを見たら、フィンランド⇔成田で、最安値が6万円。FCFの選手が4人来たら、それだけで24万円だぜ。宿泊費や飯代入れたら、30万はイクよね。ギャラ別で。
 新宿FACEは600人収容だから、平均チケット代が6000円として、360万円の売上か。FACEの使用料は……、69万3000円!!(金・土・日・祝日)。そして電源使用料が2万1000円別途。たけーなー。後楽園ホールの平日料金より高い。
 半日借りにしてるのだろーか。それだと、47万2500円だ。16時から設営準備始めて、18時半オープンってどうだろ。まぁ、できなくもないか。
 毎月の興業自体はトントンになればOKで、そっから先をスポンサー料で潤わせるって感じ? いや、違うか。興業のリスクをスポンサー料で軽減してるのか。
 ……この話はSMASH10と関係ないから(なくもないが)、また今度にしよう。


 JCBホールは初めて訪れたのだが、席への導線が、細かく扉で分けられており、間違った扉から入ると、金網で仕切られており席へはたどり着けない。合理的なような、そうでもないような。
 第0試合の大森が観たかったので、18時30分くらいに会場入り。ドリンク引き替えはあとにした。第二バルコニー、めちゃ見やすい!

■第0試合 大森隆男 vs ビヨンセ

 大森(とビヨンセン)がSMASHの査定を受ける試合。
 とりあえず、ロープの張りが、素人でもわかるくらいに甘かった。大森が何度か足を踏み外していたが、ロープの張りのせいかどうかはわからない。
 大森はSMASHに合うと思う。AKIRAもそうだが、新日や全日でなんとなくどうにもならなかった選手がSMASHに来ると、光り出しそうな気配がある。野球でいうところの野村再生工場的な感じ(星野でもいいけど)。
 試合内容は、これぞ大型選手同士!といった大味な試合で、いつもの大森だった。「プロレス」というジャンル自体の初観戦者に、何かしらの配慮をした第0試合かと思いきや、普通の試合。かといって、大森がSMASHのトライアウトを受けに来た! みたいな煽りもなく、意図があまりよくわかんなかった。
 とりあえず、レフェリーは、ビヨンセンの上着は脱がせなきゃね。鎧着るのなんて反則だって。
 あと、大森は凄まじい勢いで出てきてアックスボンバーして帰る、というLOD的なスタイルになったほうがいいと思った。

■第1試合 Mentallo vs 獣神サンダー・ライガー

 実はなんか、Mentalloにいまいちノれない自分がいる。可もなく不可もない、どこにでもいるジュニアレスラー、とまで書いてしまうと厳しすぎるかもしれないが、日本のプロレスが好き、ということ以外の個性が伝わってこなかったりする。
 もしかしたらそれは、初登場時や、小路・田中との3WAYマッチを観ていないことに起因するのかもしれないが。
 ケニー・オメガとの試合はとても良かったので、相手に左右されるレスラーなのだろうか。
 そのMentalloの念願だというライガー戦は、ライガーSMASHに来た! ということ以外は、なんのことはない試合だった。空中胴締め落としがフィニッシュじゃなくて、本当に良かった。

■第2試合 スカリーIIホッティ/AKIRA/KAORU/野崎渚 vs ヌンジオ/TAKAみちのく/植松寿絵/中川ともか

 なかなか豪華なタッグマッチ。スカリーIIホッティ初登場時の新宿FACEに行けなかったので、やっと念願がかなって生WORMが観られた。素直に嬉しい。
 ヌンジオの首をかっきるムーブも、オプション的に嬉しい要素。
 TAKAの中川に対する誤爆がきっかけとなって、ヌンジオチームが負けたが、それをハケるときまで中川とTAKAがごちゃごちゃやってて(中川が首を痛がりながらTAKAに「あんたのせいだよ」的な感じと、TAKAの「お前がちゃんと押さえてないからだろ」的な感じ)、KAIENTAI-DOJOの指導がちゃんとしていることがわかった。ああいうのって、プロレスでは一番大事だよね。

■第3試合 ルーク・ウィリアムス vs 児玉ユースケ

 ルークさんは、その昔、WWE(まだWWFだったころ)で活躍した選手らしい。往年のアメプロらしく、ワンムーブのみで成り立っている人だった。プロレスはそれで充分なのだ。

■第4試合 小路晃 vs 矢郷良明

 矢郷さんも、大家も、SMASHに非常に合っている。何度か書いているが、二人のアメプロ感というか、アメプロ的な要素をマジにやって(演じて/表現して)成立する日本人には希有な能力は素晴らしい。DDTだと良い方向に機能していないのだが、ぜひ、SMASHでその才能を開花させてほしいな。
 矢郷さんの試合後のマイクは、滑舌がよくて大変良かったけれど、内容が特になく、単なるおもしろインタビューになっていたのが残念。次への伏線的なマイク(例えばSMASH11で行われる小路vs鈴木みのるとか)になっていれば、より良かった。
 いや、でも小路の女性の好みが、色黒のけばい女であることが、今後何かに繋がるのかもしれない。乞うご期待。

■第5試合 リン・バイロンvs キム・ナンプン/レザーフェイス

 SMASH1から10までで、SMASHが発掘した選手として、ベスト3に入るのが、キム・ナンプンではなかろーか。お約束のコールアンドレスポンスがありつつ、途中途中で言ってることがいちいちおもしろい。発言でおもしろいというのは、JCBホールクラスになると、あんまり生きないけども。
 レザーの入場も、それだけでお腹いっぱいの躍動感。チェーンソーから火花出すって、偉大なる発明だよなー。もはや中身はでかければ誰でもいいくらいまで、あの芸は伝統芸になりつつある。
 女性vs男性二名のハンデキャップマッチって、普通は成立しないけど、やっぱSMASHでも成立してなかった。児玉とか、矢郷さんとかが、助けに来るってのは選択肢になかったのかな。
 素材は揃っていたけど、あまりスウィングせず。そもそものリンとキムの対立も、ハンデキャップになった時点で、あんまり意味なくなっちゃったよね。


疲れてきたので、後半戦は次回に持ち越し。